三角貿易における仲介業務は営業税が免除に!

 このたび、台湾の大手電子機器メーカー宏達電(以下「A社」とする)の物品輸入に関して、貿易仲介業者に支払った手数料に対する営業税の課税は二重課税に当たるとして税務当局に不服申し立てを行い、これが認められたという判決がありました。今回のポイントは、税務当局が三角貿易に関して課税する際の判断基準として、“ブローカー行為・仲介行為”を形式的にとらえるのではなく、契約内容や取引関係を勘案したうえで判断すべきだという、契約内容に重きを置いた基準がさらに強調された点にあるかと思います。

 まず、取引状況を整理しますと、今回、A社は海外メーカーB社からの物品の仕入に際し、貿易仲介業者C社に貿易手続きを委託し購入することとしました。輸入名義人はA社とし、A社とC社間、B社とC社間の各々で売買契約が締結されました。輸入名義人はA社であったため、A社が物品を輸入した際、当該物品に対する営業税は課税済みであったにもかかわらず、C社がA社に提供した貿易手続に係る手数料にも、台湾域内の役務収入と同様に営業税が課されるという税務当局の主張により、追徴課税がなされ、C社はこれを不服として申立てを行ったという背景でした。
 裁判官はこれに対し、契約書の記載内容の実際の取引関係を重視。C社の仲介行為は、A社がB社から物品を輸入する際に売買行為が二段階に分けて行われたことと実質的には同様であるとし、一般代理店の代行業務には当たらないと判断しました。これにより、C社がA社から授受した手数料収入は営業税の課税対象外とされました。

 通常、台湾の三角貿易において貿易仲介業者の手数料の課税の判断は、当該行為の瑕疵担保責任の有無に帰属します。つまり、物品の引き渡し後のアフターサービスを含めた瑕疵責任を当該仲介業者が負う場合には、代理店の代行業務に該当するため、その対価である手数料は役務収入として営業税の課税対象になるのです。一方、瑕疵担保責任がない場合には単なる“ブローカー行為または仲介行為”であるため、対象にはなりません。
 このように、契約書に瑕疵担保責任が明記されているかどうかによって、同じ仲介行為であってもそれが“代理店行為”とされる場合には営業税が課せられるのに対し、責任がない場合には対象外となることから、契約書の作成時には税務的側面も考慮した記載となるよう留意する必要があるものと思料します。

出所:稅法優良判決 三角貿易出線
2016-04-12 02:09:07 經濟日報 記者郭珈爾/台北報導
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